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パソコン指導:高齢者や障害者に--骨腫瘍で足に障害、名古屋の河島さん /愛知



◇苦しさ分かち合い--「受け身の人生はいや」

多発性骨腫瘍(しゅよう)により右足に障害を負った名古屋市昭和区の河島正幸さん(43)が、高齢者や障害者の情報格差の解消を目指し、パソコンの指導を進めている。「自分も障害者。苦しさの分かる者として人を助けたい」と意欲を燃やしている。【松岡洋介】

14年前、会社員だった河島さんは突然右足に痛みを感じた。原因は不明だが、腫瘍が足全体で発症。手術を5回繰り返した。入院で休みがちになった会社を辞め、杖(つえ)なしでは歩けなくなった。家にひきこもりがちになり、電話帳で心療内科を探したこともあった。「社会の枠から外れたと感じ、不安が雪だるまのように増えた」と当時の心境を話す。転機となったのが、再就職のために通ったパソコン教室だった。

仕事を受けられるレベルの技術を身につけると、「インターネットを使った電子メールやネットバンキングが障害者や高齢者にとって武器になる」と福祉とITを融合した活動に思い至った。活動の名前は「シュヨーネット」。「自分の病気が活動の原点」という思いを込めた。

講座は同区の伊勝と八事、天白区の大坪のコミュニティセンターで週1回ずつ開く。河島さんが一方的に教えることはなく、生徒同士でも教え合うため、教室はいつもにぎやかだ。「講座の本当の目的は、家から出て、人と交流してもらうこと。インターネットは顔の見える交流のきっかけです」と話す。

時折、足が痛むと「もう足なんていらない」という思いが込み上げるが、仕事に夢中になると苦痛を忘れられるという。他人のために始めた活動は自分を支えるものになった。「病気が再発する不安はあるが、受け身の人生は送りたくない」と河島さんは話す。

昨年12月から、生徒の自宅を訪問してパソコンの設定をするボランティアを始めた。河島さんは「ITによる、目や耳が不自由な人の支援をしたい」と活動の輪を広げていくつもりだ。「パソコン広場」の受講料は1回2000円で、教材費は1000円。詳しくはホームページ(http://www.shuyo.net/)で。




[毎日新聞 2005年5月3日]




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