あ(2)



[5] 【恩を知る】

恩を知るということは、人の心を豊かにする無形の富だと思います。
猫に小判ということがありますが、せっかくの小判も猫にとってはまったく価値なきものに過ぎません。恩を知ることはいわばその逆で鉄をもらってそれを金ほどに感ずる。つまり鉄を金にかえるほどのものだと思うのです。ですから今度は金にふさわしいものを返そうと考える。
みんながそう考えれば、世の中は物心とも非常に豊かなものになっていくでしょう。
もっとも、この恩返しということは決して要求されたり、強制されるものでなく、自由な姿でお互いに理解され浸透することが望ましいと思います。


[4] 【命をかける】

「人多くして人なし」と言う言葉を、昔ある先輩から聞いたことがある。考えてみると、会社経営においても普通の状態では、間に合う人は大勢いる。ところがさて、大事に臨んで間に合う人というと、きわめて少ないものである。
では、どういう人が大事の時に役に立つか。その道の知識とか経験が大きな比重を持つことは当然だが、ただそれだけではダメのように思う。その上に何が必要かというと、「生命を賭す」気構えである。と言っても今日ではほんとうに命を捨てると言うことは極めて少ないが、いざというときには「命をかけて」と言う気構えを、いつの場合でも持っている人が、本当に大事に役立つ人だと思うのである。